椿の蓋置

輝子と万華鏡

辻輝子は幼い頃、父が買ってきたヨーロッパ製の万華鏡の美しさに驚嘆し、以来60余年あの「美しい世界」を作りだしたいと念じてきましたが、1993年アメリカの万華鏡と出会い、陶の筒を焼き、万華鏡作家チャールズ・カラディモス氏が画像を作る形で制作してきました。その後日本の作家、山見浩司氏、依田満・百合子夫妻とも共作を始め、その願いを現実のものとしました。

2階第4展示室、3階辻輝子ギャラリー『孔雀窯』では陶器の万華鏡をはじめ、アクセサリー、茶器、絵画作品などをお楽しみ頂けます。

人生は万華鏡

“万華鏡のミラーほど、不思議な小宇宙はありません。覗いていると世の中のいやなことすべてを忘れてしまいそう。偶然が生み出す色の連なりや重なり、光の輝きがかもし出す世界、二度と縁を結ばないともいえるほどのはかなさ。ちょっとの動きで世界がくるりと変わってしまう不思議さ。ほんとに見ていてあきるということがありません。しかも心が落ちついて、豊かな満ち足りた気分になってくるのです。それはまるで朝日の輝き、夕日のまぶしさに匹敵する世界です。” 

“そして人生はこの万華鏡のように、偶然の組み合わせでどうにでもなりうること、くるりと動かせばまた違う局面が見えてくること、どんな場面もそれぞれに美しく輝くことを知って欲しいのです。” ―辻輝子―

Profile

辻輝子 卒寿展での画像

―神が創った自然の美しさ、その万分の一でも表現したい―
1920年/東京日本橋生まれ
38年/大森光彦、富本憲吉に陶芸、浅香金四郎に日本画を師事
41年/サンフランシスコ万国博覧会出展
41年/東京府現代工芸美術展特賞
55年/北大路魯山人との交流
78年/東宮御所にて陶芸展
2009年/仙台万華鏡美術館にて卒寿展
著書「手づくりの陶芸」「花の画集」「万華鏡」「人生は万華鏡」等

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